携帯電話に関わる煩いアナウンス  

(2011年1月24日)


先日久しぶりに羽田から飛行機に乗った。天気は快晴であり飛行場からも富士山がバッチリ見えた。私は窓側の席を取り、カメラを用意した。新しい滑走路も空から写真を撮りたかったのだ。関東一円が1枚の写真に収まると張り切った。

すると離着陸時のデジタル機器はすべて電源を切るようにとのアナウンスがあるではないか。もしこれらの機器に電源を入れておくと使わないまでも、雑音電波が出て飛行機の計器に故障を招く恐れがあるということらしい。確か、エアラインごとに制限ルールは少し違っていた筈だが、乗客を不快にする規則であることに違いは無い。
しかし、考えてみれば中途半端でおかしな規則である。僅かな電波で計器が狂うようでは危なくて乗っていられないではないか。航空機の機器はEMC(電磁適合性)の規定があって、微弱な電波に影響されないものになっているのではなかったか。またノート・パソコンのような機器も大きな雑音電波は出さないようにEMI(電磁干渉)の規定があるのではなかったか。

電車に乗ると同じように煩い車掌のアナウンスがある。携帯電話をマナーモードに設定して通話を控えろというのは仕方がない。ときどき、大声で携帯に話しかけている人がいるからだ。まあ、この人たちには車掌のアナウンスもどこ吹く風であるのだが。
不可解なのは、続く車掌のアナウンスである。優先席の前では携帯の電源を切れという。もし、優先席にペースメーカーを心臓に取り付けた人がいると、携帯の微弱電波がペースメーカーに悪影響を及ぼす可能性があるということらしい。これぐらい愚かしいことは無い。携帯の微弱電波で動きがおかしくなるようなペースメーカーは売るべきではないだろう。ペースメーカーを付けた人が優先席に座れなかったらどうする気だ。大体、スイッチを切れといって、大衆が全員スイッチを切ることを当てにするようでは安全確保の最初から間違っている。人はミスするが前提でなければならない。スイッチを切り忘れる人はいくらでもいるだろう。

上述のアナウンスを考えた人は、多分次のように言う。
制限速度60Kmの道路を走る車の運転で、少しオーバーしたぐらいではまず速度違反に問われることはない。アナウンスを聞いても、全ての人がスイッチを切ることを期待してはいない。少しでもペースメーカーに影響を及ぼす可能性を減らせるならアナウンスもしないよりはましと。
ところが、これは間違いである。携帯の微弱電波がペース・メーカーに影響を及ぼさないことを断定できないような携帯およびペースメーカーの技術屋は落第である。自信を持って、我が社のペースメーカーは携帯の微弱電波で狂わされることは絶対にないと言えなければならない。もし、「絶対にない」と言わないことが技術屋の謙虚な態度だというなら、勘違いもはなはだしい。絶対と言えるまで技術的検討は行わなければならない。安全確保とはそういうものだ。

(上の写真は野口宇宙飛行士がISSから撮ってツイッターで送ってくれた富士山。下は、今年の1月18日にJAL機の窓から私が撮った富士山。たまたま、アングルが同じでした!)

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