(平成21年6月6日)
現代の統計学で重要な定理の一つに中心極限定理があります。この定理は誤差σを伴う測定値がn個あったとき、その平均の誤差はσ/√nであることを教えています。 誤差10%の計測器があります。これを用いて出来るだけ正確な値を知りたいので測定回数を増やします。例えば、25回の計測を繰り返し、25個のデータを得ます。この結果を平均し、誤差は±10/√25=±2%であると表現します。 さて、中国のある時代に皇帝が4億人の民を治めていました。中国人は皇帝の身長の背丈がどのくらいか知りたいと思いました。皇帝の体に物差しをあてることは畏れ多くて出来ません。ある人は1m60cmぐらいだろう、別の人は1m80cmぐらいだろうと当てずっぽうにいうばかりです。 しかし、誤差を±1mを許したら、皆が自信を持って推定できました。これらの結果を集めて平均を取ったのです。誤差はなんと50ミクロンで推定できたのです! ±1/√400,000,000m=±0.005cm しかし、何か変です。中心極限定理が間違っているのでしょうか。パラドックスと言われる所以です。 |
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