歯医者のモニタ画面  

(2013年11月6日)


 4か月に1度であるが私が行き付けの歯科医院に定期検査に行くようになってもう何年にもなる。そして数年前にその歯科医院は入居ビルの都合で移転する必要があって、その際に設備も一新された。近代化されたこの歯科医の患者用処置椅子にはモニタ画面がついた。それ以来、X線で撮った私の歯の全体の写真が見たくもないのに見させられるのだ。

 普通のレンズカメラでは、フィルムであろうとCCDセンサーであろうと、写される画像は上下左右の反転した実像である。歯科医院のX線撮影装置も受光部はフィルムからCCDセンサになっているようであるが、光源は1点から出ていて影を写している。実像ではあるが左右は反転していない。

 ふと疑問に思ったのは、患者の椅子のモニタ画面に映し出されたX線画像は鏡で自分の歯を見ているような鏡像なのであろうか、それとも写真で撮って印画紙に焼き付けたような画像を見ているのだろうか、ということである。つまり右の歯は右側に、左の歯は左側に写っているのだろうか、それとも逆なのであろうかと。CCDセンサーからの出力はどちらにでもソフトの作り方でどちらにでもモニタに出せるだろう。

 画面の周囲を見ても、どこにもその注記がない。この歯科医で定期検査を受けるたびにどちらだろうと考えてみたのだが判らない。私の歯に明らかに左右を区別できる処置跡があれば片方だけにあれば一目瞭然なのだが、情けないことに私の歯はもう全体に何らかの処置がされていて、このX線画像では左右が判らなかったのだ。

 果たしてモニタ画面の左右は反転しているのであろうか。鏡は必ずしも左右を反転しているのでなく、鏡に向かって前後を反転させるものであることはなかなか判りにくい錯覚であることなどが思い浮かぶ。(→鏡像は左右が反転しているか

 今日は思い切って、手順となった歯石取などをしてくれる歯科衛生士さんに聞いてみた。するとあっさりと返事は返ってきた。結果は写真と同じであって鏡像ではなかった。
後から少し考えて見れば、もともとX線画像は歯医者が見るものであって患者が見るものではない。本人と比較して見るためにも鏡像であっては困るわけだ。

 しかし、患者に見せるためのように椅子につけられたモニタ画面なら、鏡像ではいことぐらいはどこかに書いておいて良いのではないかと、思わず衛生士さんにクレームを付けるところであった。もちろん衛生士さんはおろか歯医者さんにもクレームなど付ける気は少しもない。痛いことをされたら大変ではないか。 
(了)


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