(2018年5月13日) 垂直離着陸が出来て早く飛べることは昔から飛行機の目標でもありました。オスプレイは軍用機ですが、実運用に供されてきたところを見ると一つの成功例なのでしょう。通常のヘリコプターのように垂直離着陸ができて、水平飛行はヘリコプターより2倍も速く、航続距離も2倍あるそうです。 ヘリコプターは前進するときローターの右側と左側でローターの対空速度が異なりますからそのままでは右側と左側で空気力が異なります。すると前進するときにローリングしてしまいます。このことに対処するため、ローターの迎え角を周期的に変化させることが考えられました。回転斜板とロッドの組み合わせで周期的に迎え角を変える機構です。このようなプロぺラはサイクリック・ピッチ・プロペラと呼ばれます。 ヘリコプターが広く使われるようになった要因はサイクリック・ピッチ機構を容易に組み込めることにあると言っても過言ではないでしょう。バートルのような大型のヘリコプターはプロペラを2つ持っていますが、前後に取り付けられていますからやはりサイクリック・ピッチ機構は必要です。 オスプレイは2基のローターが左右の翼端に取り付けられていて、空中に飛び上がってからローターを前方に倒してプロペラとして使います。二つのローターはシャフトでつながっていて、左右で逆回転しています。片方のエンジンが止まっても両方のローターは同じように回転できます。 オスプレイはサイクリック・ピッチ機構がいらない筈です。垂直離陸から前進する過渡期間中でもローターは2基あって機体全体としては常にバランスしているからです。 ところがオスプレイにはサイクリック・ピッチ機構が組み込まれているのです。Flight誌に出ていた図の一部を見てください。 141が回転斜板で、142がロータ・ブレイドのピッチ・リンクであると記載されています。 オスプレイはローター全体を回転させるだけでも複雑な機構が必要なのに、回転斜板まで組み込む必要があったのでしょうか。サイクリック・ピッチが必要な飛行モードが何かあるのでしょうか。 今のところ理由らしきものは二つです。 @既存のヘリコプターの設計をなるべく変えないようにして信頼性を確保する。 Aヘリコプターの操縦士がこれまでのヘリコプターと同じような間隔で操縦できるようにする。 (了) 戻る
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