(平成21年6月6日)
モンティ・ホール問題と等価だとされている三人の囚人問題で従来の説明が間違っていないか試してみましょう。 ある国の監獄にA、B、C、という3人の政治犯がいてそれぞれ独房に入れられています。罪状は似たり寄ったりで近々3人まとめて処刑される予定になっています。ところが恩赦が出て3人のうち一人だけ助かることになったのです。誰が恩赦になるかは明かされておらず、それぞれの囚人が「私は助かるのか」と聞いても看守は答えません。 囚人Aは一計を案じ、看守に向かってこう頼みました。「私以外の2人のうち1人は必ず死刑になる筈だ。その者の名が知りたい。私のことじゃないのだから、教えてくれても良いだろう。」すると看守は「Bは死刑になる」と教えてくれた。それを聞いた囚人Aは「これで助かる確率が1/3から1/2に上がった」とひそかに喜んだのです。果たして囚人Aが喜んだのは正しいでしょうか。 この問題についても囚人Aが喜ぶのは無意味であったとする説明が多いのです。1/3のままで変わっていなくてCの助かる確率が2/3に上がっているというものです。 本当はどうなのか、ベイズの定理を用いて、囚人Aが喜んだのは正しいか確かめます。 X:3人の囚人A、B、Cがいて1人が助かる P(H|X):Xが眞であるという条件の下にHが真である確率(=1/3) つまり、Dを見た後の事後確率は1/2になっています。Cが助かる確率も1/2になっていることは同様に確かめられます。つまりAが助かる確率は1/3から1/2に上がっているというものです。 P(H|DX)=P(H|X)P(D|HX)/P(D|X) やはりAはぬか喜びでした。 |
戻る